ぱぴぷぺ_ぽきぷし通信

過去関心 Poughkeepsie の日記(バスケ式+)

五尺の命ぃ ひっさげて〜

じゃけんね 夜ね 呉の海で皆で大声で歌うんよ 軍歌を 泣きながらね

そりゃぁね 「縣女」のね 校長をね 恨んだんよ
自分がね(軍に)えぇ顔しよぉ思うて 第拾壱空廠へ行かされたん
普通の民間工場と違ごぅて はぁ軍隊じゃけぇ 厳しぃいんよ

わたしゃぁね 零戦の機銃のね 歯車の旋盤工しよったん
「ゲージ」に合わんかったら不合格じゃけぇ そりゃ一生懸命じゃったよ

寮に帰ってね 夜になると 壁板の隙間から 南京虫がはい出してくるん
(どうやって殺すん?)
まち針で突き刺すしか無いん 原始的でしょ(笑)

ご飯は一応食べさしてもろうとったけど 栄養状態も悪かったし 体の弱い子はね そこから膿んでね おできになって痛そうじゃったよ それで三ヶ月「医務室通い」になるとね 「学徒動員不適当」で家に帰れるん 親が迎えにきてね

わたしぁ 体だけは丈夫じゃったけぇ 羨ましかったよ

空襲警報が「うっ」と鳴ると、すかさずトンネル工場へね 逃げ込むん
逃げ遅れた同級生らぁみんな機銃掃射で狙い撃ちじゃけぇね
(機銃手の)顔がみえるんよ 爆弾がぼんぼんぼんぼん 恐かった・・・

駅へ歩きよったら 機銃掃射に遭うてね 慌てて汽車に飛び乗ったん 友達の死体を乗り越えながらね 
だんだんにそうゆう(戦争)状況になっていくんじゃけぇね (そのときは)なんとも思わんのよ
気が張っとるけん

(空襲警報が鳴っとるでしょ?)
久しぶりに家へ帰れる日じゃったけぇね 

月謝納めながら ご奉公しよったん じゃけぇ勉強はしとらんのよ
そういや 終わってね なんぼか貰うたよ 給金じゃったんかね(笑) ちょっとじゃったけど

(・・・とにもかくにも、その校長のお陰で私は生まれてこれた訳です)