ぱぴぷぺ_ぽきぷし通信

過去関心 Poughkeepsie の日記(バスケ式+)

今年二度目の京橋通い

新藤兼人特集を観る迄、不覚にもNFCの存在を知らなかった。今度は溝口健二。没後50年の今年、各地で上映が行われているようだ。BS放送で見逃した「祗園の姉妹(1936)」「元禄忠臣蔵 前・後編(1941・42)」を観る。

戦後撮った「祇園囃子(1953)」もよかった。それにたいして「祗園の姉妹」は、撮影当時の京の路地裏の雰囲気を伝える貴重な記録映画の側面もあるだろう。初めて見た志賀迺家辨慶(落ちぶれ旦那役)の巧さにはホント舌をまくしかない。

元禄忠臣蔵」では、原寸大で組んだという「松の廊下」がどのように使われてるのか見てみたかった。オープニング早々、なるほど!!監督がこのセットを必要した訳がわかった。
眞山青果版だという元禄太平記では、歌舞伎役者勢揃いといったキャスト。昔の演者の所作の美しさ、体の底から発せられる台詞など今となってはもう望むべくもないだろう。

また、「祗園の姉妹」では文楽の舞台が、「元禄忠臣蔵」では先のセットでの能が、「噂の女」では1954年当時の狂言の舞台が、当時の演者達によってしかも溝口流に長回しで観られる。これまたなんとも贅沢な映画でもある。

是も初めて見る「西鶴一代女(1953)」、1954年公開の「近松物語」「山椒大夫」は、是非フィルムでもう一度みてみたい。

あ、むろん新藤兼人ファンの私としては、貴重なこれも宣伝しときます。私にとってはミゾグチ映画のよい手引きとなったし、なにより戦前戦後の日本映画史を知る上では貴重なアーカイブ。彼個人は相当にあくの強い人みたいだけれど、その映画に対する集中力がみなを巻き込んでいくさまが、インタビューされる方々から伝わってくる。題名は解らないけれど、ショパンっぽい旋律のピアノが通奏されていて、いつ観てもなにやら胸にじんときます。