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ぱぴぷぺ_ぽきぷし通信

過去関心 Poughkeepsie の日記(バスケ式+)

「緊急停止します」

この日の朝は直行で用事を済ませ、出社のため昼前の空いた大井町線の急行に乗っていた。

このアナウンスと共に「各停」の駅で止まった。
それは、皆さんも経験があるように「本気」のパニック・ブレーキではない。
何故なら、そうすると立っている乗客に深刻なダメージがあるから・・・だろう。

「当駅にて接触事故がありました。現在、運転士・車掌がお客様の救護に向かっています!」私が座っていた車両の後方のドア付近で、それが行われ始めた。

車内の真横のドアにはりついて、じっとそれを見つめている男。気になってしょうがない子供たちを放おって、近くのママ友たちは、何事もなかったかのように他愛のないお話・・・自分たちの世界。

駅員に代わって、駆けつけた消防署員が懸命に心臓マッサージをしているのが窓越しに見える。

・・・諦めたのか、もう手の施しようがないのか。救急車への搬送のためか、多くの関係者が集まってきている。目の不自由な方だったのか、或いは覚悟の上の行為だったのか。夜なら酔っぱらいの可能性もあるが・・・

南無阿弥陀仏」と心のなかで繰り返し唱える。

その間、30分以上は経っただろうか。「4号車のドアを開けますので、お降りください。」とのアナウンス。見ないつもりでも、ホームに流れ出た血糊が目に入る。搬送の途中に垂れたのだろう、点々と階段に向け続く赤い斑点。

「これから警察の現場検証が始まります! 踏まないでくださいっ!」「ちぎれていた」「目撃者二名っ」などの言葉が飛び交う。

私は、駅員の指示通り歩いて目黒線に乗り換え、カイシャに向かった。

 浮かれた「ヒカリエ」に廻す金を、ホーム柵に。

                                                       
 鎮魂とともに
 Trio Chausson
   ' Ravel::Pantoum '